スノーボードだったら山へ、サーフィンだったら海へ出かけるでしょう。街中にいながら自然を感じられるのが、広島の川で行うSUPの魅力です。
SUPにはインナーマッスルを鍛える効果があるので、ワークアウトとしても大注目のスポーツなんです。SUPに乗り続けている人がいらっしゃいますが、背筋がまっすぐでとても若々しいです。パドルを漕ぐときには上半身と腰まわりを動かすので、体幹が鍛えられますよ。
たくさんの効果が得られるSUPですが、今回は、普段仕事に追われてストレスを溜めがちという会社員の山本詩織さんと乃万郁美さんに、SUPで行く「世界遺産原爆ドームツアー」にトライしてもらいました。
まずは体幹トレーニングで軽く汗を流した後、広島の川の魅力の一つでもある「雁木(がんぎ)」(雁木とは桟橋の船着場や土手にある階段)からスタートして、水辺にまつわる歴史を感じながら、水上から眺める癒しの景色を楽しみましょう!
楠木の大雁木(くすのきのおおがんぎ)
所要時間 : 40分
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市内最大の雁木からSUP旅へ
川風を感じながら広島再発見
〒733-0002 広島県広島市西区楠木町1-14-17
大雁木を出発すると開けてくる水上の景色
受付場所となる店「マジックアイランド」から、徒歩2分の楠木の大雁木(くすのきのおおがんぎ)より出発します。
体験の流れの説明を受けていただいた後、体幹にスイッチを入れる陸上エクササイズを30分程度行っていただきます。SUPでは普段意識していない筋肉を動かすので、この時点で体がリフレッシュされていくのがわかりますよ。
体がほぐれたところで、いよいよ川の中へ入ります。
最初はボードの上に正座をし、バランスを取るところから始めます。水上の感覚がつかめるようになったら、膝立ち、立ち上がりの順に練習。パドルの使い方も一緒にマスターしてSUPの動きを体感しましょう。
楠木の大雁木付近は、江戸時代から昭和のはじめにかけて舟運で栄えた地域であり、珍しい石垣の護岸を見ることができます。太田川の中でも川幅が最も広く視界が開けているので、いつ見てもその景色に感動します。
〒733-0002 広島県広島市西区楠木町1-14-17
中央公園一帯
所要時間 : 30分
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水辺の景観にうっとり
街中で非日常感を満喫
〒730-0011 広島県広島市中区基町15
自然の中にいるような静けさと心地よさ
太田川の水辺のデザインは、1980年代に中村良夫率いる東京工業大学のチームによって生み出されたものです。自然が街に溶け込むように設計されているので、まるで街の中にいることを忘れさせてくれるような景観になっています。
ピロティや屋上庭園を取り入れた、建築的にも優れた集合住宅「基町アパート」などを望むことができるほか、春の桜や秋の紅葉も見事です。
今は広島サッカースタジアム(2024年完成予定)の建設中の様子も見られ、変化していく都心を感じられるのが興味深いです。
〒730-0011 広島県広島市中区基町15
空鞘橋(そらざやばし)
所要時間 : 10分
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橋の下をくぐるワクワク感!
冒険気分を味わいながら知る歴史
橋の下は絶好の日陰スポット。休憩を挟むのに最適
暑い季節や日差しの強い日であれば、水上の照り返しはなかなかのもの。橋の下は絶好の日陰ポイントになるので、川の流れに身を任せて少し休憩しましょう。
普段、橋の下をくぐる機会はほぼないと思います。目線より高い橋に行き交う人々や、橋下を散歩する人、楽器演奏している人を見かけるなど、いつもとは違った街の顔を覗くことができます。
相生橋(あいおいばし)
所要時間 : 10分
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橋をくぐると見えてくる
水上に映し出される原爆ドーム
〒730-0011 広島県広島市中区基町22-1
水上から眺める世界遺産
橋梁の下を抜けると目の前に原爆ドームと対岸の親水雁木が見えてきます。水上にキラキラと映し出される原爆ドームと相まって、どこか神秘的で、まさに平和を象徴する景色そのものですね。思わずパドルで漕ぐことを忘れてしまうほど、心奪われる景色が目の前に広がります。地上では体感できない爽快感です。
〒730-0011 広島県広島市中区基町22-1
平和公園親水雁木
所要時間 : 20分
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平和都市広島のシンボルに到着
心身ともにリフレッシュ
〒730-0801 広島県広島市中区中島町1-1
広島の代表的な水辺で憩いの時間を
平和公園の親水雁木は、原爆ドーム前にあることから広島で一番有名な雁木です。水上から見上げる原爆ドームは空に抜けていくように見えるので、地上から見る景色とは違う印象を受けると思います。
8月6日の平和記念式典に伴う灯籠流しも行われる場所で、普段でも色々なイベントに活用されています。県民にとっては馴染みの深いエリアでしょう。原爆が落とされ多くの人が亡くなったという象徴的な場所であり、今の時代が平和だからこそ、こうしてSUPが楽しめると気づかされます。SUPを通して、広島が“世界で一番平和を感じられる街である”と伝えていくことが大切だと思っています。
コースはここで折り返しますが、いったん陸にあがって近くの「カフェ ポンテ」でランチやお茶をすることも可能です。片道コースをセレクトする場合は、ここが終着点になります。
オプションとして平和公園を案内するプランもセットにできるので、時間に余裕がある人は、平和の鐘や原爆死没者慰霊碑をぜひ一緒に巡りましょう。
〒730-0801 広島県広島市中区中島町1-1
編集後記
世界で愛好されているSUPは各地で大会も開催されています。一番大きな大会が催されるのはパリのセーヌ川。水上からはパリを象徴するエッフェル塔が見え、どこかドラマチックな雰囲気です。川SUPの場合、街のランドマークとなる建物が目に入ることも多いもの。世界遺産・原爆ドームの真横で行う広島のSUPも世界に受け入れられるでしょう。いずれは広島で世界的な大会を開催したいと考えています。
また、もうひとつの世界遺産である宮島を訪れるSUPツアーも用意しています。大鳥居をくぐって海から嚴島神社に参拝するのは、忘れられない特別な体験となるはずです。原爆ドームと宮島を1日で訪れることも、2日にわけてツアーを開催することもできます。広島の魅力と歴史を、SUPを通じてたっぷりと感じてほしいです。
西川隆治さん
「ひろしまSUPクラブ」代表理事
各種アクティビティの用具を取り揃えるショップ『マジックアイランド』の運営ほか、いち早く広島にSUP(Stand Up Paddleboard/スタンドアップパドルボード、略称してサップ)というスポーツをもたらした。「ひろしまSUPクラブ」代表理事として教室やイベントを通じSUPの面白さを発信している。太田川と河岸を利活用し賑わいづくりに貢献するコンソーシアム「RiverDo!」も牽引する。