世界最初の精巧な原寸大男性骨格標本
寛政4年(1792年)、広島の町医者 星野良悦(ほしのりょうえつ)によって作られた、世界で最初の原寸大の精巧な男性骨格模型標本です。
作者の星野良悦は、広島の名高い町医者でしたが、治療には人体の構造を理解することが大切であることを痛感し、寛政3年(1791年)4月8日、藩の許しを得て刑死者の遺体を2体もらい受け、これを解剖し研究しました。その際、1体は骨格のみを取り出し、工人の原田孝次を指導して、組立式の骨格模型を作りました。
これはツゲの木を使い、神経組織や血管が通る穴までも復元されている非常に精巧なもので、完成するまでに300日かかったと言います。
寛政10年(1798年)の秋、良悦はこの木骨を携えて江戸に上り、『解体新書』の訳者として知られる杉田玄白や大槻玄沢(おおつきげんたく)、桂川甫周(かつらがわほしゅう)らに批判を求めました。その正確さ、精巧さは彼らを驚嘆させ、激賞を受けたと言います。
彼らの勧めもあって、良悦は更に1体の木骨を作り、寛政12年(1800年)、幕府に献納しました。幕府はこれを『身幹儀(しんかんぎ)』と名付けて医学館に納め、良悦の功績を賞して金30両を授けています。
人体構造についての理解も、西洋医学書から仕入れた知識の上のものでしかなかった当時は、この木骨の精巧さは西洋医学の正確さ、レベルの高さを知らせる役目も果たすこととなり、その結果、西洋医学導入と科学的な治療体系の確立に大きな影響を与えることとなりました。
指定年月日:平成16年(2004年)6月8日
(医学資料館には複製が展示されています。)
INFORMATION
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