OKOSTA
(広島お好み焼づくり)

「非日常の風をうけて」
お好み焼と、市内の風が薫る20代女子旅。

レナ(22)とミナ(23)は新卒で今年東京の会社に就職した同期。入社式も研修もオンラインでリアルには会えなかったが、ある共通点で意気投合。それは「元彼が広島出身」というものだった。直接対面した二人はさらに盛り上がり、二人で旅行に行くことに。行き先に選んだのは、元彼の出身地「広島市」だった。

顔は忘れたけれど、
ソースの香りは忘れない。

「『き』をつけるな!って言われたよね」「言われた言われた!あと、『風』つけるな!って」「言ってた〜」なんの話でミナと盛り上がっているか。「元彼とお好み焼」の話だ。広島県人はお好み焼にうるさい(※レナ、ミナ調べ)。元彼は「お好み焼き」と、きがついている表記を見るたびに、違和感を感じていた。「風」についても同様だ。「広島風ってなんじゃ!広島が本場じゃ!」と関西のお好み焼に対して対抗心を燃やしがちだった。まあ、互いにそうなのだろう。私たちは思う。「美味しいから、どっちでもいいよね」と。
それにしても思い出す。薄い生地に、蒸されたたっぷりのキャベツと細もやし。しなっとなる分だけいい仕事をする天かす、カリッとした豚バラにたまごのまろやかさ、そこに焦げ目香ばしい麺の食べ応え。何より、目の前でライブ感たっぷりに調理された仕上げにかかるお好みソース。鉄板にとろりこぼれては、熱され湯気として鼻から胃に届くあの感じ……。元彼のことはとっくに忘れたが、あの香りと味が忘れられない。だったら本場に行っちゃおう!と私たちは記憶の中のソースの香りに誘われて、広島に来たのだった。

POINT!

お好みソースのシェアナンバーワンを誇るオタフクソースは広島の会社ですが、関西のお好み焼き屋さんでも広く用いられています。お好み焼を「BORDERLESS FOOD」と考え、分けへだてなく愛する姿勢が伺えます。表記やこだわりに関しては、身近な出身者に聞いてみて一緒に食べてみるのもいいかも?

私たちは、
歴史に残る新入社員だ。

春からの何ヶ月か、リアルに顔を合わせることがなかった。人類において入社式がいつから行われていたかは知らないが、おそらく史上初であろう。不精な私はジャケットは着ていたものの、下はスウェットで入社式に参加していた。その点もミナと気が合った。そんな私たちだから「おうち時間」でクッキーやケーキを焼いたりすることはなく、小麦粉と言えば目の前の鉄板で威勢よく焼かれるあのお好み焼が恋しかった。
しかし鉄板もなければ口うるさく、けれども美味しく焼いてくれた彼はもういない。ならば、と決めた行き先がオタフクソースが運営している体験型スタジオOKOSTAだった。

POINT!

2018年10月に広島駅構内にオープンしたのが、オタフクソースが運営するお好み焼体験スタジオ「OKOSTA」。豚肉を使用しないムスリムフレンドリー、肉・魚成分を使用しないベジタリアン向けのコースもあり、国際平和都市の名にふさわしい食体験を提供しています。

同世代?
オタフク笑顔の先生登場!

私たちを出迎えてくれたのは、年が同じくらいの可愛らしい先生だった。OKOSTAのサイトには「美味しく焼けるコツを、お好み焼士が丁寧にサポート!」とあり、ねじり鉢巻で威勢のよいおじさんの登場を想像していたので、ちょっと拍子抜けした。が、そのガッカリは、程なくお好み焼きと一緒にひっくり返されることになる。
オタフクソースのロゴがキュートなお揃いのエプロンに、帽子をかぶって準備完了。可愛い先生はアミューズメントパークのお姉さんのように、明るくハキハキ丁寧に、しかし口だけでなく手際も良く私たちに作り方を教えてくれる。

「最初は生地を伸ばします。大体20cm、このへら1.5枚分の幅ですね。鉄板の中心の温度が250度なので、温度が下がっているその脇に、おたまでクレープのように伸ばしてください」スーッと、均一に円ができる。彼氏の、あの手つきだけは尊敬していたのを思い出す。そこからキャベツと天かすを載せる。
「次の細もやしには役割があります。具材をガードし、散らばりにくくしてくれるんです」と言って包むように配置した。私たちも必死に真似をする。「次、けずり粉を振りかけます。さて、3種類の魚が使われていますが何でしょう?」「かつお!」「いわし!」「うーん、さば!?」舌の記憶を頼りに、二人で力を合わせ見事に正解!「すごいですね!」と笑顔の先生。私たちもオタフクソースのロゴのような笑顔になる。

まじです課!?
先生は「お好み焼課」!

「はい!失敗しても成功しても、盛り上がるパートです!!」せーの……ぺたん!!ちょっと野菜ははみ出たけれど大成功と言っていいだろう。私たちは盛り上がった。ひっくり返した野菜部分を鉄板の低温部分で保存している間、麺の準備をする。だしをふた回ししてヘラのカドを使ってほぐし、上に先ほどひっくり返した野菜部分を乗せる。続いて、卵を割って薄くお好み焼きの大きさに伸ばしたら、半熟のうちに上に乗せて……完成!!あの形が私たちの手によって今!この!目の前に!!「先生、教えるの上手ですね!」と聞いたら「お好み焼課」所属だという。なんて遊び心のある会社なんだろう!98%の充実感と高揚感が頭を支配する中、2%ほど、手際の良かった元彼を見直した。

プロフェッショナル
見てるみたいだよ!

いか天、ねぎかけ、トマトチーズ、激辛、季節限定、の5種類から好きなトッピングを1つ選べるのに加え、広島限定の牡蠣が入ったソースや、呉海上自衛隊のカレーを再現した味をベースにしたソースなども選べるので迷う。マヨネーズで作るラテアートならぬ「オコアート」も楽しい。
そして、青のりは「すじ青のり」と言って歯につきづらいものらしく、気が利いている…!
生まれて初めて自分で作ったお好み焼。非日常の世界へのドアを開けるがごとく、ヘラを入れる。待ち望んでいたあの香りが、湯気となったものと一緒に口へ運ぶ。「ほいひい……」ミナがいう。どんな食レポよりも伝わる表現だ。私も「ほいひいへ」と返していた。

食べながら先生と話をした。今日先生をしてくれた近藤さんはなんと私たちと同じ新卒だった。一気に距離が近づき、いろいろな話を聞いた。広島で育ち、大学も広島だったこと。「メーカーで『コト売り』をして広島の文化を広げる」オタフクソースに惹かれ入社したこと。直接お客様と触れ合える場に出たくて「OKOSTA」を希望したこと。「先生、こういう状況になって、不便じゃなかったですか」同じ、特別な新卒として聞きたかった。
少し考えてから、近藤さんはこう答えた。「例年だったらもっと早くに各地に配属になる同期と、一緒にいる時間が長かったので……そこは、よかったと思ってますよ!」なんてことだろう!一般的に悲しいと思われる事実をひっくり返し、ポジティブな感情をソースのようにかけて、美味しく仕上げてしまっていた。口だけでなく胸まで熱くなった。
「お好みや、きー!」チーズの代わりのかけ声で写真を撮って終了。「笑顔でお店を出ていくのを見送るのが一番嬉しいです」有言実行の近藤先生!私たちも嬉しいよ。プロとして頑張っている同期に出会えて、いろいろひっくり返せる気がしてきたよ。ほんのりソースの香る袖の匂いをいい気分で吸い込んで、OKOSTAを後にした。

ぴーすくるで、
ピースフルな午後。

食べるために運動するのか?運動するために食べるのか?女子にとっては両方が正解だ。ましてや美味しいものだらけの広島においては特に。次なるお気に入りを求めて、駅から市内へと向かう私たちの女子旅の強い味方が「ぴーすくる」だ。簡単に借りることができ、電動アシスト付きなので、満腹でもラクラクだ。

ぴーすくる
https://docomo-cycle.jp/hiroshima/
1日パスを購入すれば、広島市内を電動自転車で回ることができます。
乗り捨てできるステーションも多くて便利!

POINT!

広島市シェアサイクル「ぴーすくる」は、広島市中心部に設置されたサイクルポートで自由に貸出返却ができるシステムです。コンビニエンスストアで1日パスを手に入れることが可能です。市内各所にポートがあるので乗車前点検を済ませたら、自分のペースで観光を楽しんでみましょう。

完全食のお好み焼を燃料に、ぴーすくるで走り出す。川沿いの道で高い空を眺めながら、ふと横に気になる路地があればサッと非日常の世界に入っていけるのがぴーすくるの良さだ。目的地を決めて車や路面電車で行くのもいいけれど、気の向くままに、小回りのきくぴーすくるを乗り回すのにぴったりな魅力がこの街にはある。広島が誇る景勝地、縮景園を横目に一度見てみたかった広島城を目指してペダルを漕ぐ。ふと広島をドライブしたとき、元彼が流していた曲の歌詞を思い出す。

「明日へ突っ走れ、未来へ突っ走れ」

広島に本社がある自動車メーカーのCMに使われていた爽快な曲だったが、私たちには免許がない。それでも、突っ走る必要があった。突っ走りたかった。さんざんな一年だった、と多くの人は言うかもしれない。果たしてほんとにそうだろうか?いろいろ、大切なことに気がつくことができたんじゃないか?同世代のプロフェッショナルを思い出しながら走る。ひっくり返すコテ、ソースで塗りかえるあの手さばきと、まっすぐな目。私たちは、いろいろひっくり返せる。塗りかえられる!
市電が停留所に停まっている。それを追い越しながら、広島に出会わせてくれた元彼に、無性に感謝をしたくなった。「ありがとう!」一層力強くペダルを漕ぐ。電動サポートが反応する。安全運転で、私たちは突っ走るのだ。行き先はあえて決めず、ひとまずは、明日の方向だ。

ツアーの詳細 / お問い合わせ先

問い合わせ先
オタフクソース株式会社
住所
〒732-0822 広島市南区松原町1-2 ekie 内 OKOSTA(オコスタ)
TEL
082-207-1277
営業時間
12:00 ~ 13:30 / 18:30 ~ 20:00
定休日
なし
対象年齢
なし小学生以下、保護者同伴
事前予約
要予約
※体験3 日前まで:下記の予約ページまたは電話
 体験2 日前~前日(15 時まで):電話のみ

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