現存の被爆建物を通して平和について考える
被爆建物の中には現役で活用されているものがあり、その中には百貨店といった暮らしと密接にかかわるものも多くあります。より日常の身近なところで活用されている現存の被爆建物を通して、平和について考えてみましょう。
平和記念公園レストハウス
建物内の観光案内所や売店に多くの観光客が訪れる
爆心地からの距離は170m。1929年に大阪の大正屋呉服店が建設し、当時としては革新的な鉄筋コンクリート造のモダンな建物でした。平和公園内では被爆前の面影を残す唯一の建物です。その歴史的特性をいかし、被爆の実相を伝え、平和への思いを共有する場となるよう保存・活用を図るとともに、訪れた方へのおもてなしを向上させるため、改修工事を行い、被爆75年に当たる2020年7月1日にリニューアルオープンしました。
広島アンデルセン
改装を行い、活用することで被爆建物を保存
爆心地からの距離は360m。ルネサンス様式を基本とするモダンな建物は三井銀行広島支店として竣工され、被爆当時は合併により帝国銀行広島支店として使われていました。1967年に現アンデルセングループが買い取り、ベーカリーとレストランの複合店「広島アンデルセン」をオープン。時代のスタイルに合わせて活用することで被爆建物を保存してきました。被爆部分を残した全面建て替え工事を経て、2020年8月に再び本通商店街で営業を続けています。
旧日本銀行広島支店
広島市の重要有形文化財にも指定
爆心地からの距離は380m。古典様式の優れた外観を有する広島の昭和初期を代表する歴史的建築物で、被爆後も建設当時の姿をほぼ残しました。広島市の重要有形文化財にも指定されています。現在は建物公開も兼ね、イベント開催やギャラリー使用の場として使われています。
本川小学校平和資料館
爆心地にもっとも近い小学校
爆心地からの距離は410m。爆心地にもっとも近い小学校で、広島市内の公立小学校では最初の鉄筋コンクリート造3階建ての校舎として建てられました。建物の一部を保存し、平和資料館として見学できるように公開しています。『はだしのゲン』に出てくる小学校は、この本川小学校がモチーフです。
袋町小学校平和資料館
旧校舎の一部分を保存し平和資料館として見学可能
爆心地からの距離は460m。被爆当時「西校舎」と呼ばれていた旧校舎の一部分を保存し、平和資料館として見学ができるようになっています。児童や教職員、地域の人々の安否を尋ねるために壁に書かれた伝言が、当時の状況を知る貴重な資料として公開されています。
福屋百貨店
被爆の翌年にはいち早く営業を再開し、広島の復興に寄与
爆心地からの距離は710m。広島を代表する地元のデパートです。当時は珍しい冷暖房設備を備えた近代的な建物で、人で賑わっていました。被爆の翌年にはいち早く営業を再開し、広島の復興に寄与しています。4度の増改築を重ねましたが、電車道路沿いの外観は被爆前の1938年に完成した当時そのままの姿を留めており、今も昔も人の賑わいを生み出す場所となっています。